太陽エネルギの電力変換による
農業への利用に関する基礎実験

農業生産機械学 05-109 南上 嘉洋

1.はじめに

 近年化石燃料による環境破壊が進んでいる。これから先、エネルギの消費量は今まで以上に拡大していくと予想されている。そのためあらゆる分野で環境に影響を及ぼさないエネルギが必要となってくる。その代替エネルギの1つとして太陽エネルギが挙げられる。太陽エネルギは膨大な無限のエネルギであり、なにより有毒ガスなどの発生がない極めてクリーンなエネルギである。しかし、エネルギ密度が希薄であり、日射量として変動が大きく、確実に一定のエネルギが得られないなどの問題がある。

 本研究では太陽エネルギを電力変換してその特性を分析し農業に利用するために、岡山における太陽電池から得られる電力の調査を行い、検討を加えた。

2.実験装置及び方法

 本研究では太陽エネルギの電力変換にアモルファスシリコン太陽電池を使用した。太陽電池は南向き傾斜角35゜で設置し、負荷としてファンを使用した。その太陽電池の出力を測定する実験回路を図1に示す。日射量は日射計ソーラーエースMS-62で測定し、データロガSOLACVを経てパソコンに記録できるようにし、2分間おきに日射量、電圧、電流を記録した。


図1 実験装置回路図

3.実験結果及び考察

 図1で得られた日射量に対する太陽電池の出力電圧、電流を図2に示す。電流は日射量に対してほぼ直線的に増加しており、電圧は日射量にあまり左右されることなくほぼ一定した出力があった。


図2 日射量と電流・電圧の関係

 晴天の日の日射量、電圧、電流、電力の経時変化の一例を図3に示す。この日の積算日射量は11.0MJ、1日の電力への平均変換効率が8.36%という結果が得られた。


図3 晴天の日の測定結果の一例

 曇天の日の結果の一例を図4に示す。この日の積算日射量は0.5MJで1日の電力への平均変換効率は7.20%であった。曇りの日や雨の日は日射量が十分得られないので、安定した出力を得るために、日射量の多い日の余剰電力を蓄電池に貯めて利用するか、バックアップ電力が得られるのであれば、それと併用して利用していくことが望ましいと考えられた。


図4 曇天の日のの測定結果の一例