2. 実験装置およびアルゴリズム
センサにはMicrosoft 社製Kinect for Windows v2 を用いた.カラーカメラ(解像度1920×1080)と3次元距離センサ(解像度512×424)を内蔵しており,いずれもv1から性能が向上した.さらに,距離情報を赤外線レーザの反射で取得するため,昼間でも使用可能になったが,反射により情報が欠落する部分が発生する欠点もある.以後3次元距離情報を距離画像と称する.撮影は,本学山陽圏フィールド科学センタの温室内で栽培されたトマトの作物列に対して0.5〜0.8 mの距離から昼と夜に行った.
果実識別までのアルゴリズムはまず,熟した果実の色情報を基にしきい値以上に赤い領域を抽出する.その周辺に果実があると仮定し,領域内の最も近い距離を起点として,同じ距離にある点群を求める.同一果実の表面であれば点群は等高線に相当するので,距離を変えながら点群を積算して物体を形成する.もし果実が単独であれば,ある距離(輪郭部分)から物体の大きさは変わらなくなるが,果房であればある距離で隣接する果実と一塊になって急激に大きくなる.また,物体の手前に障害物があれば,輪郭線は円形から遠くなる.これらの状況を組み合わせて収穫対象果実を識別する.