2. 実験装置および方法 環境制御室内において実験を行った。光源は500 Wハロゲンランプを使用した。吸熱と集光のために,水を入れた円柱状の瓶を植物体と光源の間に配置し,植物体付近の温度上昇を2 ℃以下まで抑え,光量は最大PPFD1200 μmol/m2/sを得た。照明時間は明期15時間,暗期9時間とした。光源は植物体の上方仰角30°に設置し,葉に対して正面から光を当てた。供試植物は,黄斑の発生しやすい品種であるウィンブルドンを使用した。温度は前年の研究で気孔応答に差があった25,30 ℃に,湿度も気孔応答と関係があると考え40,70 %に設定し,これらを組み合わせた4種類の環境下でそれぞれ10日間実験を行った。黄斑の計測は1株につき異なる光量の3,4枚の葉を選び,1日1回デジタルカメラで撮影し,画像処理ソフトを用いて黄斑の個数と面積,色情報を求めた。 3. 結果および考察 実験の結果,今回の環境下で黄斑を発生させることができた。発生は強光や高温,高湿下で顕著であった。黄斑の程度は,まず面積を比較した。葉の大きさはそれぞれ異なるため,葉面積に対する黄斑の合計面積の割合を黄斑面積比とした(図1□)。面積比により,6日目から発生した黄斑が増えていく様子を計測できた。つぎに黄斑の色は,進行に伴って緑色から黄色,茶色と変化したのでG成分に着目しRG比(G/(R+G))を算出した(図1◇)。RG比は黄斑の進行に伴う色変化を計測できた。面積比,RG比のいずれかでも黄斑の程度を計測可能だが,同じくらいの面積比でも色が異なれば程度は違うと考え,黄斑度はこれらの和とした。RG比の値は,今回の黄斑では最大0.55で時間とともに減少するので,0.56からの差分が面積比の0.1〜1倍となるように係数を設定した。 Y=A+10A(0.56-C) ここでYは黄斑度,Aは面積比,CはRG比である。Yが大きいほど黄斑が進行していることを示している。黄斑度(図1△)により,9日目から10日目の面積比はあまり変化しないが黄斑は進行した様子も数値化できた。黄斑度と環境条件の関係の一例として,光量が多いほど黄斑が進行している様子を図2に示す。このように黄斑度を設定し,数値化することによって客観的な評価を得ることができ,環境条件との関係も計算することが可能になった。 |
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