2. 実験装置および方法 環境制御室内に設置した棚の側面2方向に32W Hf 3波長蛍光灯を各4本設置し,PPFD 300 μmol/m2/sを得た。さらに強い光を得るために100W電球型蛍光灯4個と500Wハロゲンランプ3個を設置し,照明時間はタイマで設定した。気孔コンダクタンスの測定はリーフポロメータで行い,供試植物は3品種のキク,精興の勝(黄斑が発生しない品種)と精興の誠,ウィンブルドン(黄斑が発生する品種)をそれぞれ2株ずつ用いた。環境条件はPPFD 0〜600 μmol/m2/s,温度20,25,30 ℃,湿度80%,明期15時間・暗期9時間とした。1株につき3枚の葉を選び,明期開始前にPPFD 0 μmol/m2/sの値を測り,気孔開度が安定した点灯30分後から1時間ごとに6回の測定を行った。光強度は光量子計をそれぞれの葉の位置に合わせて測定した。灌水は気孔開度に影響を与えるので,明期終了時にハイポネックス1000倍希釈液で行った。 3. 結果および考察 図1〜3に光強度と気孔コンダクタンスの関係を示す。なお,気孔コンダクタンスの値は個々の葉で異なるので最小値を0,最大値を100として正規化した。黄斑が発生しない品種(図1)はどの温度条件下でもPPFD 300 μmol/m2/sまで増加し,それ以上の光強度では減少する傾向が見られた。これは活性酸素の生成を少なくするため,気孔開度を小さくしようとする応答と考えられた。これに対して黄斑が発生する品種(図2,3)は,強光下で減少する場合も見られたが,再び増加するなど気孔応答は一定ではなかった。特にウィンブルドンの25 ℃では強光下でも減少せず, 高い値を保った。30 ℃よりも25 ℃以下で気孔開度が大きいことは,秋口に黄斑が発生しやすいという現象と関係があると思われる。黄斑が発生する品種では強光条件だけではなく,温度など他の環境条件の影響も受けることが示唆された。 |
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