2. 実験装置および方法 今回試作したセンサを図1に示す。石膏ブロックに埋め込んだ電極間の電気抵抗を測定し,土壌水分を算出する。電極の検討では,単芯銅線,アルミ,ハンダ,炭素棒およびハンダ付けした銅線を用い,蒸留水中で直流および交流で通電し,電極間抵抗値の時間変化を記録した。電圧は直流,交流とも1.5 Vとし,交流の周波数は90 Hzとした。吸水体に使用する石膏の検討は,最大含水率が異なる4種 (21,24,28,31 %)を用いて,含水率変化に伴う抵抗値変化を測定した。なお,石膏の乾燥は高温で行うと過乾燥になり,混練する前の状態である半水石膏へ組成が変化して溶出し易くなり,安定した使用ができなくなるため,45 ℃以下で行った。試作したセンサは土壌に埋没させ,土壌含水率と抵抗値の関係を調べた。なお,抵抗値は温度の影響を受けるため,実験は一定の環境(30 ℃)で行った。 3. 結果および考察 電極間抵抗値の時間変化例を図2に示す。直流で実験を行った結果,ハンダ付けした銅線では抵抗値が安定しなかった。これは他の金属でも同様であった。炭素棒での抵抗値の推移は比較的安定していたが,抵抗値の上昇が続いた。これらの直流での測定では,電極の分極の影響を大きく受けたと考えられた。そこで,分極の影響が少ない交流を用いて実験を行った結果,どの電極でも安定した抵抗値が測定できた。以上の結果から,固定が容易で強度のある銅線を酸化防止のためハンダで被膜したものを電極とし,交流を用いることとした。つぎに,電極を石膏に埋め込んで測定したところ,抵抗値は含水率変化によく追随し,4種とも同様の応答特性を示した。最大含水率はセンサが測定可能な水分範囲に関わるので,土壌の状態に応じて選択すればよい。土壌含水率とセンサ抵抗値の関係を図3に示す。土壌含水率約5〜23 %間で,センサ抵抗値は4〜1.5 kΩと,応答性よく測定できた。これ以上の含水率では今回用いた土壌は飽和状態となり,植物の生育環境を考慮すると,十分な測定範囲であるといえる。今回,短期間の測定では繰り返し安定して使用できたが,長期間での使用については今後検討していきたい。 |
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