精米加工と米の品質

精米加工と米の品質

平位拓也

1. はじめに
 米に対する消費者のニーズは多様化し,安全性,栄養バランスなどへの関心が高まる中で,良食味で高品質な米を求める傾向にある。近年の消費者の良食味米志向から,精米時に米の食味向上につながる操作を行ない,良食味に仕上げる必要があると考えられる。米の品質は大別すると外観品質と内部品質とに分けられる。この中でも内部品質に関連する食味は,米の価値を決める重要な要因である。玄米から白米に精米する過程で,米の品質を損なわず調製加工する方法について試験を行った。

2. 供試材料
 供試材料として,平成13,14年度産のアケボノ,ひとめぼれ,コシヒカリ,日本晴,きらら397,あきたこまちの6種類の玄米を用いた。

3. 実験方法
 摩擦式精米機を用い,目標精米歩合が95%,93%,91%,90%,89%となるように,2〜3回通しで精米した。精米機を通すたびに精米された米の質量とぬかの質量を測定し精米歩合を計算した。目標とする精米歩合になるまで精米を繰り返し,精米の仕上がったものについては,米粒食味計でアミロース,タンパク質の含量,水分及び食味値を求め,白度計で色の変化を調べた。さらに,すべてのサンプルを炊飯食味計を用いて食味値を求めた。

4. 実験結果及び考察
 図1と2に平成14年度産日本晴の炊飯食味試験の結果を示す。精米を進めると米粒食味値は高くなり白度は上がった。また精米機に通す回数が増えると砕米や,胴割れ米の割合が大きくなった。炊飯食味計で食味値を求めた結果は,精米するに従って食味値は高くなり,精米歩合が90%前後で最も高くなるといった結果を示した。精米を進めすぎたものは,炊飯時に内部のデンプン質が溶け出し,硬さと粘りの比(バランス度)から食味値が悪くなったと考えられる。米粒食味計で食味値を求めた結果は,精米により外側の種皮,胚芽などが削られることにより,アミロース,タンパク質の含量が低下し食味値が高くなった。これらの結果より適切な精米歩合に精米することで高い食味値が得られることが分かった。


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