リモートセンシングによる水田調査

リモートセンシングによる水田調査

宮崎 武志

1. はじめに
 本研究では岡山県児島湾干拓地における水田を対象に衛星から得られた画像データと水稲の成育との関連を求めることを目的としている。

2. 調査・解析方法
 水田調査は衛星のデータ取得日に合わせて稲の草丈,分げつ数等の調査を行った。調査対象は図1に示すA〜Hの水田である。マイクロ波は雲・雨の影響を受けず,全天候で観測を行うことができるという特徴を持っている。そこで,衛星RADARSATからのマイクロ波(波長5.3cm)を利用し,稲株での反射散乱を観測した。画像データ間の補正は,阿部池を0,水門を255として256階調の濃度値で評価を行った。


図1 調査水田位置

3. 結果と考察
 各水田の草丈の変化を図2に, 衛星画像における濃度値の変化を図3に示す。水稲の草丈は9/14までは増加していた,しかし10/8に水稲には穂が出たので,9/14以降は水稲の草丈の増加はあまり見られなかった。濃度値をみると5/17,6/10の水田は耕起された状態で,何も植えられていなかったために土壌面での散乱があり土壌面の状態に応じた値になった。7/4は各水田とも田植えが終わり灌水した状態であったため,水面での鏡面反射が起こり濃度値は低くなった。7/28は水稲の草丈が60cm前後で,分げつ数が20前後となり水稲が成長したことによって後方散乱,体積散乱が増え濃度値が大きくなった。8/21に濃度値が減少したが,これは台風の影響で稲が倒伏に似た状態となったためであると考えられる。以上より水稲の成長と関連して画像濃度値が増加することが分かった。


図2 草丈変化


図3 水田濃度値変化