精米方法の改善に関する研究
高月 亜希子
1. はじめに
精米過程においては,効率の良い精米と良食味米に仕上げることが求められる。粒厚選別による食味仕分けができれば,食味の向上に繋がり,効率の良い精米も期待できる。本研究では,精白条件によって仕上がり白米の形状がどのようになるかを調べることと,玄米と白米を精米の前後に粒厚選別し,食味への影響を調査することを目的とした。
2. 実験装置および方法
供試玄米には,平成13年岡山産アケボノ(サンプルAとする),平成12年大阪産ヒノヒカリ(サンプルHとする)を用いた。まず,研削式精米機を用いて金剛ロール粒度と金剛ロール回転数を変化させ,各精白条件において精白率95,90,85,80%に精米したときの米の3軸寸法の変化を米形状分析装置で測定し,精白条件による粒形の変化を検討した。つぎに,粒厚選別機を用いて,精白前の玄米を粒厚により2.1mm以上,2.1mmから2mm,2mm以下,粒厚選別しなかったものの4つに分類した。摩擦式精米機を使用し,負荷を一定にして精白した。精白後の粒厚選別では,サンプルHの粒厚が小さかったため,2mm以上,2mmから1.9mm,1.9mm以下に分類した。玄米あるいは白米にて粒厚選別した米を炊飯食味計にかけて食味値を測定した。
3. 結果および考察
精白条件による形状指標について,サンプルAとHを比較するため,玄米の3軸寸法を基準(1.0)とした変化率で表す。図1に精白による3軸長の変化率の一例を示す。全て金剛ロール粒度#36,金剛ロール回転数850rpm,100g供試で精白したものである。精白が進むにつれ,3軸長は減少した。両品種とも厚さ(T)と幅(W)は僅かな減少だが,長さ(L)は大きく減少しており,減少率はL≫W>Tとなった。品種間で見ると,Hの方が大きな減少率を示した。3軸長を用いて,形状の各指標を計算すると,長さ-厚さ比(L/T)は図に示すように,精白の進行とともに減少しており,金剛ロール粒度が粗いほど,また,回転数が大きいほど減少率が大きくなる傾向がある。表にHの炊飯食味分析結果を示す。精白前に選別した大粒と中粒の食味に差は見られなかったが,小粒については明らかにそれらより食味が劣っていた。精米後に粒厚選別したものについても同様である。Hの中,小粒について比較すると,白米選別の方が低い食味値となった。これは,精米過程で砕粒となった米が多かったためと考えられる。大,中粒は粒厚選別しなかった米よりも高い食味値を示しており,粒選別による食味向上効果が明らかになった。
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図1 精白による3軸長の変化率 | 図2 精白による長さ-圧さ比(L/T)の変化率 |
表 炊飯食味の試験結果(サンプルH)