米の3軸寸法が内部成分に及ぼす影響
難波 洋
1. はじめに
米の粒厚は食味値と関わりがあり,厚みのあるものほど食味値が高いとされている。そこで稲穂の部位別に籾を採取し,粒の寸法,内部成分等について調べた。また,粒厚選別した米の3軸寸法を調べ,内部成分にどのように関わり食味に影響しているかについて検討した。
2. 実験装置・方法
実験1の供試材料として祭り晴(H.13年大阪産),日本晴(H.13年岡山産),ヒノヒカリ1(H.13年大阪産),ヒノヒカリ2(H.13年奈良産)を,実験2の供試材料としてアケボノ(H.13年岡山産),ヒノヒカリ3(H.12年大阪産)を使用した。実験1では図1のように籾を稲穂の部位ごとに上位,中位,下位,その他の4つに分類した。そして各部位ごとに籾すりした後,回転補正処理が可能な米形状分析装置により3軸寸法を測定すると共に米粒食味計により食味値及び内部成分を測定し比較を行った。実験2では粒選別機により供試材料を玄米,白米の状態でそれぞれ3つの粒厚区分に選別し,無選別米と合わせて,実験1と同様に3軸寸法の測定と食味値及び内部成分の測定を行い粒厚との関連性について検討した。
図1 稲穂の部位区分
3. 実験結果・考察
実験1では,3軸の寸法上はそれぞれにおいて上位・中位>下位・その他というように,大きさの順位が得られたものの上位と中位,下位とその他の間にははっきりとした違いは見られなかった。また表に示すように食味に大きな影響を及ぼすタンパク質含量については,上位・中位<下位・その他という傾向が見られた。実験2では,測定の結果,すべての供試材料において粒厚の厚いものがタンパク質,アミロース含量は低く,図2のように食味値は高い値を示した。さらに各粒厚で選別した供試材料を混合させて内部成分を測定したところ,厚みが大きい供試材料を加えることで良食味につながる値の変化が見られた。また3軸寸法の測定結果から平均値では3軸寸法における相関が見られたものの1粒1粒を見るとばらつきがあり相関は見られなかった。従って長さや幅に関わらず,厚さが食味に影響を与えていると考えられる。
表 稲穂の部位別タンパク質含量
図2 粒厚別食味値(玄米)